KEEN UTILITY JAPAN PROJECT vol.5 [KEEN UTILITY x Canadian Farm]
Canadian Farm / Yutaka Hasegawa
FORCUS MODEL / MANCHESTER 6” WP
ー現在のエシカルな暮らしやカナディアンファームをスタートしたきっかけを教えてください。
長谷川「物心ついた頃から、長野県の高原に住む夢があって、15~16歳のときに牧場のある親方のところに弟子に入りました。そこは馬や牛、ひつじ、ヤギ、にわとりやアヒルなんかを飼っていて、そこでの暮らしが、当時京都に住んでいた自分の環境と違い過ぎて、高校を卒業するタイミングで “親方みたいな暮らしをしたい” と相談しました。それがそもそものきっかけですが、一度都会で経験してから来た方がいいと進められて…。それなら将来のためにもなって、お金も貯められたら一石二鳥だと思い、消防士を目指しました。美術の高校に通っていたので、あんまりそういった進路の人はいなかったですが…(笑)。消防学校では、建築基準法を学んだり、卒業後に志願した救助隊は、現場で水をかけてもらいながら最初に危ないところに入るような部隊でした。美術の学校出身ということもあって、当時立体のものを平面の図面に書くような作業もできたので、原因調査なんかを担当することもありました。カナディアンファームをスタートするとき、火災がどの順番で燃えていくのか、延焼を阻止するためにどこを壊しやすくしておくべきか…、など、消防士の経験がすごく活きて、森の中で建物を作るのに役に立つことだらけでしたね」
ーオープン当初、レストランは無かったのですか?
長谷川「そうですね。午とか馬を飼っていたので、排泄物を利用した生活のなかで、畑はやっていました。もの作りだけでやろうと思っていたので、レストランは当初まったく予定していなかったです。ただ、遊びに来るお客さんたちがみんな腹すかせていて…。最初はお客さんに教えてもらいながら料理を作ったりしてふるまっていましたが、その量も増えてきたので、営業許可を取り、レストランをスタートしました。そういった感じでどんどんエスカレートしていって、今年で41年目になります」
ー災害時のボランティアなども積極的に活動されていますよね?
長谷川「それは、元消防の野次馬根性というものですかね…。現場でひらめいて何かの役に立てるのは自分も気持ちいいですから、人のためであり、自分のためでもあります。もし行って何もやらないで戻ってきたら後悔するので、時間のある限りとことんボランティアをやって帰ってきます。初めて行ったのは阪神淡路大震災のときで、東日本大震災や台風19号で信濃川が氾濫したときも行きました。俺が行くと言うとついてきてくれたり、サポートしてくれる人なんかもいるので。」
ー実際にMANCHESTER 6”WPを履いていると思いますが、感想を教えてください。
長谷川「最初に見たときは、くるぶしまで覆われている深いブーツという印象があったので、俺は履けないかもな…、と思っていました。普段はかかとを踏んで歩けるような靴ばかり履いていて(笑)。ところが、実際に履いてみると、奥までストンとスムーズに履けるし、脱ぐのも手間がかからなくて驚きました。今年はゲリラ豪雨なんかも多くて、畑なのに田んぼのようになっている場所もあり、長靴で入ると足を取られて脱げてしまうような状態の場所でも、この靴だと脱げることもないし、作業もしやすかったです。透湿性が高いのか、湿気もこもらなくてすごくよく作られているな、と思っています。鉄平石という車のタイヤも切れちゃうような石の上を作業で歩いたときに、つま先側の生地が少し破れてしまって…。そこをよく見ると、中に硬いアルミが入っていたことにびっくりしましたね。すごく軽くて安全靴になっていることに全然気がつかなかったです(笑) 」
ー最後に今後の展望をお願いします。
長谷川「最近は、俺が今までやってきたようなことを若者がやりたがっていて、よく訪ねてきます。コロナの影響も大きいと思うけど、新しい風が吹いていると感じています。廃材を使って自分でコツコツとやってきたけど、手間をかければ廃材も使えるし、使えるだけではなく、美術を勉強してきた経験からおしゃれに作っていくこともこだわってきました。そういった経験を若者に伝えていきたいと思っていて、エコヴィレッジ構想のようなものを元気なうちにやりたいと考えています。実はカナダに住んでいる息子もうちの五倍くらいの面積で似たようなことをやっていて、そこの手伝いも楽しめそうですけどね(笑)」
―ありがとうございました。
Profile
Canadian Farm 創始者 長谷川豊
1982年から自然豊かな八ヶ岳西麗にて、有機農法とサステイナブルな生活を目指し、自然のサイクルとともに生きる生活を日々実践している。シンプルで、自然と共に生きる生活を夢見て、若き日の出会いや経験をもとにカナディアンファームを創設。数々のイソーローたちの助けを得て、仲間たちで家屋、レストラン、そしてレクリエーション施設を建てる。0.3エーカーと始めは小さかった農地も今では5エーカーを超える規模となり、有機野菜畑や牧場としてカナディアンファームの食べ物を提供している。