KEEN UTILITY JAPAN PROJECT vol.3 [KEEN UTILITY x ReBuilding Center JAPAN ]
ReBuilding Center JAPAN / Tadafumi Azuno
FORCUS MODEL / PORTLAND”6 WP
―ReBuilding Center JAPAN(以下 リビセン)を立ち上げたきっかけを教えてください
東野「日本だと、僕らみたいな古材再生やリノベーションといった活動や仲間がマイノリティーだったんですが、ReBuilding Centerのある米国のポートランドだとそれが普通だったんですよね。その感覚がすごい!と思ったし、とても居心地が良かったんです。なんかいいな~と思いながら日本に帰ってきて、それから2~3ヶ月経ったくらいですかね、当時から僕らはリノベーションで古材をよく使用していたことと、空き家が全国で解体されていく問題を目の当たりにしている時に、特定空き家法が制定され、日本の古い建物の存続に危機感を覚えていたこともあり、じゃあ日本で立ち上げようと思って、ポートランドのリビセンの問い合わせフォームからメールを送ったんですよ。日本でリビセンをやりたいから名前貸してってメールを送ってみたら、結構すぐにレスが来て、“いいよ~っ”て 笑。ロゴも使ってもいいかな?って聞いたら、“作ってあげるから待ってて~”みたいな感じで返事がきて、すごく嬉しかったです。問い合わせたタイミングもよかったかもしれないですね、当時のエグゼクウティブディレクターのスティーブが、とても親切に対応してくれました。もちろん、KEENのポートランドのお店も遊びに行きましたよ、ドラム缶で作った椅子とか、シューズの什器とか見て、カッコいいなーと」
―リビセンでは様々な活動(古材再生、レスキュー、ワークショップ等々)をされていますが、ここ数年で人々の意識は変わってきている印象はありますか?
東野「オープン当時は古材=かっこいい物くらいの認識が多かったんですが、最近は古材=環境に良い木材という認識が広がってきた気がします。リビセンを立ち上げてからは、リノベーションに関わる人たちと話をする機会がすごく増えて、リノベーション推進協議会といった、リノベーションの文化を15年くらい前から作ってきた人たちと話をしていると、当時はリノベーションなんて日本にほとんどなかった、といったお話をされていたことを覚えています。今ではみんながリノベーションに注目をしているし、建築の専門誌で10年前は新築しか取り上げてなかったのに、今ではリノベーション特集を組むくらいに業界的にも浸透してきたのかな。業界自体が新築メインからはだいぶ変わってきている感じはしますね」
―転機になった出来事や人物はいらっしゃいますか?
東野「大学の先生で川崎和男さんです。当時のグッドデザイン賞の審査委員長で、デザインとは何か?の本質を教えて頂いたと思っています。具体的には、デザインとデコレーションは違うよということを最初に教えて頂いて、それが全てな気がするんです。カタチを作んなくてもいいし、問題解決する流れがデザインと呼ばれているだけだと。僕は芸術工学部出身なんですけど、2つの分野をつなぎ合わせる橋渡しができることがデザインであって、例えばエンジニアの技術と、医学をデザインの力で橋渡しすることで、医療機器のプロダクトができあがるみたいな。そういうところを学んできたので、現在進行形ではありますが、いろんな分野が一緒になって新しいアイデアができるっていうのがデザインかなと思っています」
―多くのゲストハウスを作ってこられたと思いますが、大切にしている考え方はなんですか?
東野「小規模ゲストハウスって、収支計画を立てると採算が合わない状態なことが多いので、その辺りをしっかりとチェックして、収入が足りない場合の対策も一緒に考えるようにしていましたね。また、人が集まる場所なのでみんなで作るような工程を大事にしていましたが、最近はゲストハウスの依頼も減ってきました……。それこそ5年くらい前はゲストハウスはすごい流行っていて、世の中の流れでカフェやバー併設のゲストハウスやホステルがすごい増えてきた時期だったと思うんすけど、僕らの周りでもやりたいって人が増えていて、元旅人だったりとか、地方に戻って地元を盛り上げたい若者とかが、外から人が集まって楽しい場所が欲しいとなると、まず最初にゲストハウス作りたいってなるから、依頼は多かったんですけど、最近はゲストハウスが一過性のブームではなくて、ある程度成熟してきた気がするのと、いざ初めてみるといろいろと大変なんですよ。それをみんながわかってきたんじゃないかな(笑)」
―これからの展望を教えてください。
東野「リビセンを全国にひろげたいので、どうやったらリビセンらしく増やしていくことができるかを考えています。直営店は上諏訪だけにして、フランチャイズ的な展開で僕らがコンサルをしたり、ノウハウを提供することによって、リビセン的なお店が全国に増えていくことは、とても良い流れだと思っています。もしくは僕らがコンサルに入らなくても、リビセンを真似して勝手に作ってもらうこともウェルカムなんで、自然派生的な感じで増えていったらいいなと思っています。実際、今日も遠方からリビセン的な場所を作りたいっていう若者がサポーターズで手伝いにきていて。僕らはノウハウをなるべく隠さずに共有することで、こういった流れを広げていきたいですね」
―PORTLAND”6 WPを着用してみての感想を教えてください。
東野「見た目は大きくてゴツい感じですが、動きやすいことと、流石ワークブーツという感じの安心感がかなりありますね。しゃがんでの作業がしやすい所が気に入っています。しっかりした靴を履くと気持ちも引き締まるので、今日はガッツリ作業するぞ!という日にちょうど良い一足です。欲を言えばローカットがあったら興味ありますね」
―KEENへひとこと
東野「リビセンを立ち上げる前から、現場での作業靴はKEENを愛用していました! それまでいろいろな作業靴を試してきましたが、KEENは完璧に要望を満たしてくれました」
―ありがとうございました。
Profile.
ReBuilding Center JAPAN 代表取締役 東野 唯史
1984年生まれ。
大阪、兵庫、福岡、名古屋、東京と転々と移り住む。
2007年:名古屋市立大学芸術工学部卒
2007年:ディスプレイデザイン会社に就職
2010年:世界一周
2011年:フリーランスデザイナーとして独立
2012年:Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE のデザインを担当
2014年:空間デザインユニットmedicala設立
2016年:株式会社ReBuilding Center JAPAN設立
2019年:グッドデザイン賞ベスト100
2020年:DESIGN INTELLIGENCE AWARD(DIA)TOP 100