Rice Field FES. がくれた、今 つながることの意味。
遠く阿蘇を望む抜けるような青空のもと、黄金色の稲穂が、重そうに頭を垂れていました。KEENアンバサダーのシンガーソングライター東田トモヒロさんと地元熊本のみなさんが、今年立ちあげた「Rice Field FES.」は、熊本で育てた無農薬米を、福島県南相馬市よつば幼稚園の子供たちに届けるプロジェクトです。KEENも、6月の田植えに続いて、稲刈りをさせてもらいに熊本市植木までやってきました。
熊本の思いを南相馬の子供達に
約1反(1,000ha)ある3枚の田んぼで実ったのは、6月に豪雨の中、子どもと大人50人で手植えした、ヒノヒカリ(その時の様子はコチラ)。強い稲になるようにと、のはら農研塾のみなさんが2か月かけて育てた苗がしっかりと根をはり、大きく立派な稲に成長していました。
ひと株をまとめて根本からザクッ!と刈り、5~6株をまとめて藁や麻糸で束ねます。その束を、竹組のみなさんが刈った竹で建てたハザ掛けに掛けていきます。稲を天日で2週間ほど乾燥させるためです。こうすることで、お米がいっそうおいしくなるんです。子どもたちに届く日が楽しみ。
爽やかな秋の風の中、大人も子どももみんなピースフルな笑顔に満ちた一日になりました。
7年の間に育ってきた だいじなこと
「Rice Field FES.」の母体は、原発事故により今までとは異なる暮らしの中にいる子どもたちに熊本のオーガニックな農産物を送る東田さんの活動「change the world」です。
この活動が生まれたのは2012年。東日本大震災直後に南相馬でボランティアをしていたサーフィン仲間を通じて、東田さんがよつば保育園の子ども逹に会いに行ったことがきっかけでした。
「 我が子と同じ年頃の子ども逹が、原発事故の現場から25kmの土地に住んでいる。自分の周りだけが幸せな環境で、果たして自分は幸せになれるのか?親世代としてできることをやりたい。そうじゃないと自分自身が救われなかった。 」当時、東田さんを突き動かしたこの思いは、今も全く変わっていないと言います。
それは、熊本の農産物生産者のみなさんにも共通する思い。今年も、季節の野菜とともに、夏には大きなスイカが、11月には自然栽培のみかんジュースが、生産者の皆さんからchange the worldに寄付されました。
このchange the worldの仲間たちと自分たち家族のお米を作っていた田んぼの隣りも借りてくれないかという話になり、それじゃここでお米を育てて南相馬に届けよう、と始まったのが Rice Field FES. です。
誰かの行動のきっかけになる 楽しいフェスを
総勢70人で始めた稲刈りは、午前中の間に大半が刈り終わりました。女性&こどもチームが料理してくれた野菜いっぱいのだんご汁とおにぎりで、お昼ごはん。お隣りの菊池市から来てくれたカフェ「シーカーズ」さんがおいしいコーヒーをふるまってくれました。
そんな中、ティピーの前に東田さんが立ち、ミニライブが始まりました。オープニングの「我が古里のカントリーロード」は、生まれ育った熊本から見える阿蘇の美しい佇まいを歌っています。
歌が始まると Rice Field FES. 主催者の一人、柏木誠悟さんがポツリと言いました。「熊本地震の直後、この歌がラジオから流れてきたんです。それで僕らはまた頑張ろうと思った」
2016年に熊本を襲った地震は大きな被害をもたらしました。東田さんはその直後に、熊本の復興支援活動チーム「ハレルヤ熊本」を立ち上げ、全国のライブ会場での募金活動を始めます。奇しくも南相馬と同じく被災地と呼ばれるようになった故郷で、新しい絆がつぎつぎと生まれました。
今年は、夏の終わりから秋にかけて、豪雨と台風が立て続けに日本列島を襲い、甚大な被害が広がりました。各地でボランティアの不足が目立っています。
「全国各地で大変な思いをしている人達がいる。でも、みんな日常で忙しくて、人に気を回す事がむずかしく、最初の一歩のモチベーションってなかなか出ないよね」東田さん自身、台風15 号の被害が広がっている時は忙しいツアーの最中でした。その時仲間が「ライブでドネーション一緒にやっていいですか」と言ってくれたおかげで「あ、それなら今やれるよ。」と思ったそうです。
誰かが声をかけてくれることがきっかけになる。「僕らがやっている活動も、そうした役目なのかな。小さいことだけど、それなら僕たちも私たちも、って言ってくれる。Rice Field FES. は続けていくことが大事。それには元気にやれないとね。そして継続させてもらってるのは、理解してくれる仲間と家族と、周りの人々のおかげ。継続は力。よつば保育園の子ども逹から、もう大丈夫と言われるまでは続けたいです」
KEEN は今回も、フェス参加者全員に「Rice Field FES. オリジナルTシャツ & 前掛け」をご自身で無料で作っていただくシルクスクリーンプリント ワークショップ、そして「FEEL GOOD STORE by KEEN 」としてシューズのチャリティー販売をさせていただき、売上げの50%を「change the world」に寄付させていただきました。
「今日のエネルギーをそのまま連れて行きたいから」1月に直接自分がよつば保育園まで持って行こう。東田さんはそう決めています。
KEENは、なぜ米作りをするのか?
Rice Field FES. は、KEENにとってふたつめの米作りです。ひとつめは、新潟県十日町市松代の里山にある「まつだい棚田バンク」の里親として参加している「」での米作り。棚田は多種多様な動植物が棲息し、豊かな生態系を築いている場所ですが、過疎化や高齢化による担い手不足などで、維持が難しくなっています。その棚田を継承することを目的として社員が田植えや稲刈りなどに参加しています。
それぞれ背景が異なるふたつの米作りに、KEENは微力ながらもこれからも取り組んでいきます。
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